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教育改革の幻想

 「教育改革の幻想(2001)苅谷剛彦-ちくま新書」という本があります。苅谷先生は東京大学の教授で現在はオックスフォード大学の教授でもある教育社会学の専門家です。その著書の中には大変興味深いものが満載されています。その一旦を述べてみます。(以下の矢印以降の部分は私のコメント部分)
○「『ゆとり教育』のめざすところは授業が分からない7,5,3(高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割)を改善することだった。しかし、79年と97年で授業内容の削減をしても授業理解度は変わらないという調査結果がでている。」
 →つまり、授業内容や時間数を削減したからといって授業の理解度が下がったという統計的事実がないということです。授業が理解できる、できないは別の要素がからんでいるともいえます。
○「小学校では『新学力観』で推奨された体験型、グループ型が多く取り入れられており、講義型は1%未満しか実施されていない。しかしアンケート調査結果では児童の学習意欲は高まっていない」
 →体験型、グループ型が学習スタイルとして望ましいことはよくわかります。しかし、その運用の仕方によって、意欲が高まる、高まらないが変わってくるでしょう。
○「1949年に日教組がとったアンケート調査で、戦前に比べ勉強しなくなったというものがある。また、2000年の調査と比較して勉強しない層は変わっておらず、1949年の方が上位層が多い」
 →つまり競争が激しくなっている訳ではないということでしょう。戦後の復興段階にある1949年と単純に比較することはできないと思いますが、昔より今の方(2001年段階)が受験競争が厳しく、落ちこぼれも多いというのは異なっているのではないかという問題意識が提示されています。
○「東大入学者や国立大学の入学者の受験時の睡眠時間調査を行うと7時間から8時間とっており四当五落という言葉は神話であることがわかる。」
 →寝ないで勉強しなければ難関大学に合格できないというのは、マスメディアが作り出した幻想です。私が指導していて気付いたことの一つに、「できる子はよく寝ている」という事実があります。特に12時よりも前に就寝しています。テスト前日も早く寝る子は点数が取れています。この背景として次のようなことが考えられます「睡眠時間を削らなければならない事態になっているのは、そもそもなぜか?時間の使い方が上手でなく、無駄が多いためである。無駄が多いという意味は計画性がないということも意味するためテストでは点数をとることができない。」

以上のように、興味深い事実が科学的統計からわかっています。世間で言われていることは、果たして事実であるのか、冷静になって考えていく必要があることを、この本は認識させてくれます。受験競争が激しいから「ゆとりへ」、「ゆとり」が過ぎたから時間数増加へという単純な思考で行動すると、それに振り回される教育関係者や生徒はたまったものではありません。しかし、それが現実に行われてしまっています。ですから、大切なことは「真実を知ろうとすること、可能であれば自分で体験したり自分の目で確かめるという姿勢を持つ」ことでしょう。
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  1. 2012/01/01(日) 00:00:00|
  2. 石田勝紀からの便り
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